前立腺がんと前立腺肥大症は 排尿困難、夜間排尿など症状も似ており、加齢とともに増加する男性の病気という点では共通しています。
前立腺肥大症が悪化すると,前立腺がんになるのではないか・・と心配される方もいますが、この2つはまったく異なる病気です。
前立腺がんの早期発見にはPSA(前立線特異抗原)検査から・・・
「PSA(前立腺特異マーカー)検査」は採血でわかる前立腺がん診断の検査です。
PSAが高いほど前立腺がんの確率は高くなります。
PSAが高い場合やMRI検査で前立腺がんの疑いを指摘された場合には、がんの有無やその悪性度を確認する『前立腺生検』をおすすめします。

<大まかな検査の流れ>

治療の選択
- ホルモン療法
- 手術
- 放射線治療【外照射・小線源療法・粒子線(陽子線・重粒子線)】
- 抗がん剤
陽子線療法をご希望の方
当院はメディポリス国際陽子治療センター連携施設です。治療の方針

手術
転移がない場合に根治的に治療できる方法です。
他のがんと違って臓器を部分的に切除はできません。
基本的に前立腺は全摘出です。
前立腺がんは臓器内に多発する性質があるので、全摘出しなければ微小ながん細胞を取り残す可能性があるので全摘出になります。
前立腺摘出後は排尿路を確保するために膀胱と尿道をつなぎ直します。
手術は、開腹手術・小切開手術・腹腔鏡手術・ロボット支援手術があります。

ホルモン療法(内分泌療法 ⅭAB)
前立腺がんは男性ホルモンの影響をうけて増殖・進行します。
内服薬・注射で男性ホルモンの分泌・働きを妨げ、前立腺がんの勢いをおさえる治療です。
ホルモン治療は手術や放射線治療をおこなうことが難しい場合、放射線治療の前後、転移がある場合にも行われます。
相対的にもともと男性にも存在する女性ホルモンが多い状態になるので副作用があります。
副作用
- ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・急な発汗)
- 性機能障害(勃起障害・性欲の低下)
- 乳房が大きくなる(女性化乳房)
- 骨密度の低下による骨折のリスク
など
放射線療法
外照射・・・身体の外から放射線を前立腺に向けて照射して、がん細胞を破壊し死滅させます。
小線源療法・・・放射線を出す小さな物質(金属)を前立腺の中に埋め込んで内部から照射してがん細胞を死滅させます。
粒子線(陽子線・重粒子線)
最も軽い原子核の水素を加速したものが陽子線です。体の深いところにある腫瘍に集中的に、より多くの放射線量をあてることが可能で、浅いところの正常な組織の損傷を低く抑えることができます。
→九州では鹿児島のメディポリス国際陽子線治療センターで治療が可能。
当院はメディポリス医療連携協定を結んでいます。
炭素イオンを加速し、がんの病巣に狙いを絞って照射する放射線治療です。
陽子線よりもさらに線量集中性にすぐれ、照射回数も少なく、治療期間をより短くすることが可能です。
→九州では佐賀の九州国際重粒子線がん治療センターSAGA HIMAT(サガハイマット)でのみ治療が可能(2018年現在)
抗がん剤治療
前立腺がんの化学療法(抗がん剤治療)はホルモン治療の効果がないとき、または再燃時におこないます。
ホルモン治療は数年続けていると、効かなくなる方やがんが再び増殖・再燃する方がいます。
そのような状態を「去勢抵抗性」といいます。
ホルモン治療の効果がなくなったかどうかはPSA値で判断をします。
抗がん剤というと点滴のイメージがありますが、内服薬も注射もあります。
前立腺肥大症に関して詳しくはコチラ