尿路上皮癌

尿路上皮から発生するがんを尿路上皮がんといいます。尿路は大きく二つに分類され、腎盂・尿管を上部尿路、膀胱より下方をを下部尿路といいます。ここでは上部尿路と下部尿路にわけて、説明します。

上部尿路上皮癌(腎盂・尿管がん)

疫学として腎盂が約25%、尿管が約75%認められます。50〜70歳台に多く認められ、男性のほうが女性より頻度が高いとされています。リスク因子として喫煙、化学発癌物質の曝露、慢性感染症があげられます。

上部尿路上皮癌(腎盂・尿管がん)

症状

症状としては肉眼的血尿が多く、水腎症(尿のうっ滞)を呈している場合などは側腹部痛を生じることもあります。

検査

尿検査、尿細胞診:血尿や異常細胞を確認

造影CT・逆行性腎盂造影:腫瘍の位置や広がりを評価

尿管鏡検査:尿管癌や腎盂癌の正確な位置や大きさ、形を確認。必要に応じて、組織(生検)を採取して病理検査に提出

治療

治療としては転移のない場合は手術(腎尿管全的術)が第一選択となる治療です。ロボット支援手術や腹腔鏡手術が適応となります。

転移がある場合は抗がん剤治療や免疫チェックポイント阻害剤、抗体薬物複合体などが適応となります。

下部尿路上皮癌(膀胱がん)

膀胱がんは、内視鏡で治療後の膀胱内再発が多いが事が特徴です。頻度では男性に多く女性の約4倍多いとされています。リスク因子としては喫煙、化学発癌物質の曝露、慢性感染症があげられます。

症状

症状としては無症候性肉眼的血尿(痛みを伴わない血尿)が特徴です。

検査

尿検査、尿細胞診:血尿や異常細胞を確認

超音波検査(エコー):膀胱や腎盂・尿管の腫瘍や腎臓の異常を簡単に調べられる安全な検査

膀胱鏡:膀胱内の腫瘍を直接確認

CT・MRI:腫瘍の広がり、転移や浸潤の有無を評価

治療

・表在性の場合:経尿道的膀胱腫瘍切除術(当院でも施行しています)、膀胱内薬物療法(BCGや抗癌薬注入) 

・浸潤性・進行例:膀胱全摘術+尿路再建、放射線療法や化学療法
・転移がある場合は抗がん剤治療や免疫チェックポイント阻害剤、抗体薬物複合体などが適応となります。

下部尿路上皮癌(膀胱がん)治療