食生活の欧米化、高齢化の進行により前立腺癌は本邦でも増加傾向です。「PSA(前立腺特異抗原)」検査は血液検査でわかる前立腺癌診断の検査です。PSAが高いほど前立腺がんの確率は高くなります。
PSAには、がんに得意な分画(S2・S3)があります。S2,3 PSA%は、血液中のPSAのうち、これらが「がん関連分画」が占める割合を示す検査で、特にPSA 4~10ng/mLの「グレーゾーン」で前立腺がんを早期に見つける際に有用とされています。当院では必要に応じてS2,3 PSA%測定を行いより精度の高い診断を心がけています。
2022年8月よりS2,3 PSA検査が保険適応となり当院でも検査可能です。
PSA、S2,3 PSA%、MRIの所見などを総合的に評価し前立腺生検の必要性について検討致します。
症状
初期の前立腺がんはほとんど症状がありません。進行すると、次のような症状が現れることがあります。
- 尿の出が悪い、排尿の勢いが弱い
- 夜間頻尿、残尿感
- 血尿
- 骨転移がある場合は腰痛や骨の痛み

診断
● PSA検査:血液中の前立腺特異抗原(PSA)の値を測定する。前立腺がんの早期発見に有効。
●S2,3PSA%(PSAの中で「がんに特徴的な型」が占める割合)を調べることで、前立腺がんと前立腺肥大症などの良性疾患をより区別しやすくなりました。特にPSAが4〜10 ng/mLのグレーゾーンの場合に診断の助けとなり、不必要な生検を減らす目的で用いられることがあります。
● 直腸診:前立腺の硬さや形を調べる。
● 前立腺生検
仙骨麻酔をしてから前立腺に12〜16ヵ所前立腺に針を刺し組織をとる検査です。MRIなどで疑い病変がある場合はそこを追加して組織を取ります。当院では経会陰的に生検を行います。癌の診断がついた場合、CT、骨シンチを施行し病期診断(ステージング)を行います。
● 時間
麻酔も含めて1時間程度で1泊2日入院を要します。
治療
・限局性前立腺癌では、監視療法、ロボット支援前立腺全摘術や放射線治療
・転移癌ではホルモン療法や化学療法
2018年局所前立腺癌に対して陽子線治療が保険適応となりました。当院はメディポリス連携施設です。ご気軽にご相談ください。手術を希望される場合も諸施設に紹介いたします。
